ベンチャーのCFOになるには?年収、スキル、相性のマッチングが難しい?


ベンチャー企業のCFOは、金融、財務系のエリートにおすすめのポジション

 

「いやー、投資銀行は体力的にキツイですわ、長くは働けないっす。」

「監査法人に勤めているんですけど、監査対応とかってやってて誰の為になってるんですかね。何のために必死に勉強して会計士の資格とったんだか。」

金融・財務系の輝かしいキャリアパスを歩むエリートにも、仕事に慣れるにつれて様々な悩みが出てくるものだ。

そんなエリートに眩しく輝くポジション、それがベンチャーのCFOだ。

CEOの右腕として財務~戦略まで幅広い業務を担当し、IPOすればストックオプションの行使による資産形成もでき、自身の名前も世に広まるため、その後のキャリア形成においてもベンチャーの社外取締役なりベンチャーキャピタリストなり広がりが出てくるアツいポジションである。

 

投資銀行の若手からすると、グリーの青柳元CFOは若手の投資銀行のバンカーからは憧れの存在である。

投資銀行を辞めて、全盛期のグリーの経営を支え1部上場まで持って行ったサクセスストーリーは良く引き合いに出される。

 

しかし、人材市場においてベンチャーCFO案件は、要件がなかなか噛み合わないポジションでもあったりする。

企業側が採用する意思があっても、CFO候補が嫌がるケースもあり、そのまた逆のケースも多々存在する。

 

なぜCFOポジションの需給がマッチしないのか、要因を挙げてみたいと思う。

 

CFOのポジションのマッチングが難しい理由

 

年収面

投資銀行や投資ファンド、戦略コンサルティングファームに勤めていると、年収も2000万くらいの人も多いはずだ。

しかし、ベンチャーCFOの給与レンジはせいぜい800万~1200万くらいである。

2000万から1000万に年収ダウンとなると、さすがに心理的にすんなりと受け入れることは難しいだろう。

ただ、今の外資金融やコンサルに留まったとしても会社の仕組み的にも長くは働けないし、体力面や精神面もキツ過ぎるから幸せにはなれなさそうだ。

また、昇進している上司を見てみても、仕事しか人生の価値を置いていないワーカーホリックが多い。40歳50歳になっても平日深夜労働で土日も構わず働く生活をしている。

その人達みたいな人生を送りたいかと自問自答すると、人生一回きりだし、もっと事業を運営して人生の足跡を残したい、家族との時間を大切にしたいなど、自分の価値観と今のキャリアパスの延長線上がズレているのではと感じてしまう。

 

ここは1000万の年収ダウンを飲んで、、、と考えるのだが、

「あれっ、来年の所得税と住民税を払えるんだろうか??」

「今住んでいるマンションは高すぎるから、引っ越さなければ」

「ちょっと待て、同期はヘッジファンドに行って5000万稼いでいるのに、オレは1000万の人材なの??自分を安売りしているのでは」

と、収入面や周囲からの視線が邪魔して、なかなか踏み切れなくなる。

 

また、年収が2000万くらいだと、周囲からはいい生活してそうと思われがちだが、意外と税金で半分くらい持っていかれるので、貯金が全然無い人も多いはずだ。

せめて1年くらいは働かなくても何とかなるくらいの現金は、手元に貯めておくと良いと思う。

 

その状況を察してか、企業側もストックオプションという数年後のIPO後の果実をぶら下げて、何とかその急激な年収ダウンを飲み込んでもらうように説得するのだが、企業側の心理からしても、周りの従業員は、

「なんでこの人、CFOだからっていきなりストックオプションもらえるの??我々は創業の時からリスクとってがんばってきたんですけど」

社長は、

「ストックオプションってそもそも有能な人を惹きつけるという意味合いよりも、リスクとって人生を捧げてきた古参の従業員のリスクテイクに対する対価なのでは」

「あんまりぽんぽん株って渡すべきではないよなー、マザーズから東証1部に鞍替えした場合にまた放出しなければならないし、まだ他にもIPO前に社外取締役や監査役入れないといけないし」

 

CFO候補は、

「ストックオプション貰えるって言っても、そもそもIPO出来るのかな??P/L見せてくれって言ったら怒られるかなー。」

「ストックオプション1000万って、IPOしても事業内容的にPER高くならなそうだから大した金額にならなのでは。。。」

 

という思惑が双方に生じ、

「いやー、ぜひ御社に入社したいんですが、ストックオプションもっといただけないんですかね??」

「えっ、あなたはお金目的で弊社に来たいのですか??事業内容や理念に共感してくれている人を求めているのですが。。。」

「いやいや、もっと事業にコミットしたいので、ストックオプションたくさんもらったほうがより事業にコミットできると思うんですよ。」

「うーん、うちは事業や理念に共感してくれる人を求めているんですけどねー。お金を求める理由がよく分からないです。」

 

といった噛みあわない会話が生じてしまうのだ。

 

スキル、役割面

ベンチャーのCFOというと、財務だけでなく経営戦略の立案と実行、それに加えIPO準備のための証券会社や監査法人への対応など様々な業務を遂行する能力が求められる。

投資銀行のIBD部門で、M&Aアドバイザリーをやっていましたというバンカーだと、スキルがM&Aに偏っている。

また、公認会計士で監査法人にずっといた人だと、会計監査がメイン業務となるため、M&Aや経理実務に不安が残るし、おとなしい人が多いので攻撃力が低い。

じゃあ経理出身はと言われると、M&Aや金利を安く金融機関から資金調達するなど、外部との交渉を積極的にやって事業貢献できるかといわれると出来なさそうだ。

ベンチャーのCFOでスキルセットが合致する人材と言われると、本当にベンチャーのCFOを経験した人しかいないのかもしれない。

しかし、ベンチャーのCFOも一回IPOしてしまうと、昔のようながむしゃらに働く気概がなくなるため、敢えてもう一度IPOしてみようというモチベーションも低くなる。

人気なのは投資銀行、ベンチャー財務部門の部長クラス、バイアウトファンド出身者なのだが、採用する側も完全なスキルセットの一致は望めないことが採用活動をしていると理解してくるので、これらの会社で実務経験があり若くて勢いのある人材が好まれる傾向がある。

しかし、外資の投資銀行の人材は、確かに優秀でバイタリティもある人材が多いのだが、ベンチャーのCFOポジションとしては、普段扱っているM&Aなどの案件の規模が大きすぎるため、実際にベンチャーがM&Aするような規模の案件を前職のコネクションから引っ張ることが出来ない。

「キヤノンと東芝メディカルのM&A案件が5000億規模だったんです。社会的にもインパクトが大きい案件でした。」

と言われても、確かに案件規模が大きくて話題になった案件であるが、ベンチャー企業がM&Aできるような案件規模ではないため、入社後案件を引っ張ってきてもらうことは期待できない。

なので、意外と日系の証券会社出身者の方が案件規模的にもハマりやすいのかもしれない。

クロスボーダーのM&Aをやる際も、日系の証券会社は海外の銀行と中小規模の案件を共有していたりするそうだ。

監査法人で監査業務のみを経験している会計士は厳しい。IPO前の内部統制対応や基本的な財務の知識はあるものの、おとなしい人が多いので積極的にM&Aの案件を見つけてきたり、金融機関と交渉してきたりと、事業伸ばしてくれそうなCFOという像からはやや遠い印象だ。

 

社長、周りの従業員との相性

大抵のベンチャー社長は若い。なので、社長より大きく年上であると敬遠される傾向にある。

また、当たり前だが、箔をつける、もしくはIPO後の資産形成目的で応募してくる人は必要とされない。本当に事業内容に共感して、会社に没頭してくれる人が好まれる傾向にある。

なので、自分のことしか考えずに年収やキャリア形成を主な転職理由としている人は、かなり難しいだろう。

あと、会社の他の従業員と仲良くやっていけるかも重要なポイントだ。

外資の投資銀行やバイアウトファンドは結果で評価され、同僚との付き合いも極めてドライである。

就業後の飲み会やプライベートで土日遊ぶなどは、本当に気が合わなければ付き合う必要もないし、一匹狼でも成果を残していればとやかくチームワークどうこう言われることはないため、周りの従業員との協調性も気にされる。

また、CFOと言っても、ベンチャーに入社すると細かい雑務も積極的にやらなければならない。

「この仕事、オレの専門じゃないんで他の人がやってくれませんか??」

なんて口が裂けても言ってはいけないのだ。

周りの従業員からすると、既に役員ポジションで年収高く入社している中途の人材が、オレはお前らと違うんだという空気を出した瞬間、周りの従業員は味方してくれないだろう。

いろいろ、ミスマッチが生じるため、ベンチャーCFOになるもの大変だ。

最初の年収ダウンを受け入れて、後々実るキャリア形成とストックオプションを取りに行けといわれても、いざ最初に年収ダウンという損失を出して、もしかしたらIPO出来ない可能性があるというリスクを取ることに臆病になってしまう。

顧客には、

「M&Aは最初の買収に巨額の資金が必要ですが、その後のバリューアップやシナジー効果によるリターンで十分回収できるのでご安心ください!」

と説明するクセに、いざ我が身に同じ状況を突きつけられた時に、判断が鈍るのは不思議なものだ。

採用するベンチャー企業も、理念や事業への共感だけでスキルセットもマインドセットもバッチリのCFOが採用できると思わないほうがいい。

彼らには彼らなりの事情があるし、それを察してそれなりのインセンティブを約束してあげないとならない。

TBSドラマの「逃げるは恥だが役に立つ」で、ガッキーが、やりがい搾取・断固反対宣言をしていたが、理念や事業内容の共感だけで、2000万の年収の人間を800万でこき使うのには無理がありすぎる。

 

ベンチャーのCFOになるためには、転職希望者と企業の妥協と折り合いが重要だと思う。

完璧なポジションは存在しない。どこか妥協点を見つけていかないと上手く転職活動も進まない。

あと、基本ベンチャー企業は知人の紹介ヅテで人を探すため、アツいポジションは公に求人票が公開される前に決まってしまう。

ビズリーチや人材紹介会社から勧められるCFO求人は、企業側が探しても探しても見つからず、誰も候補者が出てこなかったため、しぶしぶ紹介料払って人材会社にお願いしている案件が多いので、極力イベントや友人ヅテでベンチャー企業の経営者と接点を取るように心がけることが重要である。

 

「いろいろ条件を気にしていたら何も状況は変わらないし、社長も尊敬できる人なので、ここは清水の舞台から飛び降りる気持ちで入社してみるか!」

「おおっ、こんなに優秀なスペックの高い人が入社してくれるんだ、報酬は極力出してお互いWIN-WINになれれば最高だな!」

 

というマッチングを1度でもいいから見てみたいものだ。

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■ この記事を書いた人

元戦略コンサルタント(サイト運営者)
元戦略コンサルタント(サイト運営者)
MARCH大卒→精密メーカーSE(3年)→総合系コンサルティング会社戦略部門(4年)→日系製造業事業再生(3年)

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