コンサル出身の若手に与えられたミッション「3年で事業収益改善せよ」


コンサルティングファームから転職した大手企業で、与えられた3年で事業収益改善のミッション

「30歳の若造が、数百人規模の従業員がいる事業収益改善なんて出来るの??」

よくネットなどで転がっているハイキャリア向けの人のキャリアコラムを読むと、若いうちに普通のサラリーマンではありえないような経験をしていることがある。

実際、コンサルティング会社にいてもそのような経験は積めないので、未経験と言えば未経験だが、仕事の進め方がキッチリ身に付いていれば何とかなるものだ。

 

入社してから取り組んだこと

私が入社して、どのように動いたかを伝えたいと思う。

「赤字事業を黒字化しろ」転職して最初に役員に言われる

日系大手企業のポストコンサルで入社して3日後、PCの支給もままならない状態で、元戦略コンサルの役員に呼び出される。

 

「おお、ちょうどいいところに。仕事は慣れた??」

「まだ来て3日なので、通勤経路には慣れてきたくらいですが。。。」

「それは良かったね!ちょっとこの基幹事業なんだけど、赤字が続いてるから3年で黒字化してくれる??」

 

あれっ、なんだこの無茶振りは??

不安に駆られて質問を矢継ぎ早にしてしまうが、どこかコンサルティング会社に似た懐かしい感覚もある。

 

「えっ、私は入社3日なのであまりこの会社の事業とか良く理解していないのですが、大丈夫でしょうか??」

「そこを気合で何とかするのがおまえの仕事だろ??何のために中途採用で高い給料で採用になったと思ってんの??」

 

あー、やっぱり。コンサルティング会社のノリで、気合で乗り切れと指示が飛ぶ。

やったことが無いので出来ません、とは口が裂けても言わないようにコンサルティング会社で調教を施されていたので、もうこの状況は不可避と判断し、少しでも事前に情報を引き出しておこうと質問を続ける。

 

黒字化のために、リストラはだめ、投資予算もなしという困難な案件

 

「リストラとかOKですか??何か投資予算も付けてくれるんですよね、もちろん??」

「いやリストラとかダメでしょ。ここはずーっと古くから続く日系企業だしさ。投資する予算なんかないよ、利益率低いんだしさ。なに言ってんの(笑」

 

なるほど、さっさと戦場に向かい最短期間で敵陣を陥れろ、武器と食料はないが、知力と体力と根性がおまえにはあるから出来るはずだ、とコンサル上がりの役員は伝えたかったのだろう。

ランボーですら銃ぐらい持っているのに、素手の肉弾戦での勝負はかなりキツイ。

 

収益改善の対象となる事業は、BtoBのオフィス向けの事業だった訳だが、投資無し、リストラ無しで営業利益を改善して黒字に戻せというミッションが渡されたわけだ。

 

コンサルティングファーム出身ということもあり、難易度の高い仕事を振られ、不安に駆られる

 

コンサルから転職したばかりなので、もちろん事業全体をコントロールして営業利益を改善する実務をやった訳ではないので、めちゃくちゃ不安だった。

 

第二次世界対戦中の日本軍で例えると、戦場経験の浅い学徒兵が単騎でサイパン島に乗り込むような状況だろう。

 

「まあ給料も貰っているし、やるだけやってみるか。」

 

とぼとぼ、その事業があるオフィスまで歩いて行ったのだが、コンサルを辞めた後1ヶ月くらい海外を放浪していた為、サボり癖がついていたことから、このまま帰宅しようかなと雑念が頭によぎる。

 

 

よく、有給使わずに間髪入れずに次の仕事に転職する人がいるが、なんとなく理由が分かった気がする。1ヶ月ブランクがあるとかなり社会復帰が厳しくなることを痛感した。

オフィスに行く時の足取りが、非常に重かったのを良く覚えている。

 

その事業のオフィスに入ると、会議室に事業責任者の執行役員が座っていた。

「おー、よく来たね!どうして良いか分からなくて悩んでいたんだよー!」

予想通り丸投げの予感。その予感は数ヵ月後、奇しくも的中することになる。

 

大手にも関わらず、ガバナンスがきちんとしていない企業であった

 

執行役員との顔合わせを終わらせ、現状把握のために必要な資料を整理し、執行役員に資料の収集をお願いする。

「ねぇねぇ、必要資料のリスト見たんだけどさ、うちの会社は業務フローなんてないし、システム鳥瞰図なんていうのも無いんだけど??」

「えっ、じゃあどうやってシステム導入とか内部統制対応やってるんですか??よく上場できていますね(笑」

「さあ??不思議だね(笑」

 

あれっ、古い日系の大手企業のイメージは、生産性は低いがガバナンスしっかりしていて、コンプライアンス意識も高いと思っていたが、ひどいなこの会社と思ってしまった。

特に、基幹システムの使い勝手が悪かったり、入力精度が低い会社は注意すべきだ。
戦略、組織/人事、業務プロセスなど、全ての要素がシステムに反映される。

システム開発で炎上している会社や、運用定着化がロクに出来ていない会社は、統制が効いていない会社であると判断してもいいぐらいだ。

 

事業計画書などを3日くらいで読み込んで事業内容を理解し、3年分のP/Lを眺める。

 

部長クラスにヒアリング

概要程度ではよく分からないので執行役員の方にお願いし、バリューチェーンの機能別に部長クラスにヒアリングだ。

部長の方々からすると、

「なんだコイツ、いきなり本社から来て偉そうに。」

と最初は警戒されるのだが、私の長所でもある和み系コミュニケーションで、30分もすれば仲良くなってどんどん本音を話してくれるようになる。

ただ、話し上手聞き上手だけではダメで、キーマンとなる執行役員と事前に仲良くなっておき、部長を紹介してもらうときに、

「コイツ良いヤツなんで、仲良くしてやってよ。」

とティーアップしてもらいながら、ヒアリングに望むと楽に進められるはずだ。

 

各部長へのヒアリングを進めると、

 

「いやー、他の部署がさぁ、全然働かないんだよねー。おれらがんばってるのにさぁ。」

 

細かい自分の部門の課題と、他部署の悪口が溢れるように出てくる。

大企業の部長クラスなぞ、会社の全体最適を考えて仕事はしていないため、細かい自分の担当部署の課題と他部署の愚痴ぐらいしか聞くことは出来ないと思ったほうが良い。

 

課題洗い出しの進め方

 

大体全体のヒアリングを終えて、全体感と現場感を捉えたら、課題の一覧を作ってみるがヒアリングで聞いたことだけ並べても本質的な課題は見つからないので、そこから1週間ほど考えるのだが、このプロセスで個人により大きく仕事の進め方が異なってくると思われる。

 

ゼロベースで自分で考え抜く

 

東大卒の実直なマジメな人に多いパターンで、ヒアリングの内容は内容でインプットとして活用し、自分で考え抜くパターン。
時間がかかるが、創造性は高い。

 

類似のビジネスモデルの事業をベンチマークとして比較してみる

過去にやったプロジェクトなどを思い出し、類似するビジネスモデルの企業と現在の事業のビジネスモデルをFit-Gapし、課題を類推する。
競合他社の例があればベストだが、異業種でも商流が似ている会社であればこのアプローチは使える。
短時間で課題を類推でき、他社の例も語れるので説得力が高い。

 

大抵、①と②をミックスして考えるのだが、私の場合、どちらかというと①のアプローチがあまりにも時間がかかるし、部下にも展開しづらいのでコンサルティング会社に居た時から②の手法をメインで考えるようにしていた。

 

なので、いかにナレッジを他の人からもらって、それにインデックスを付けて自分のナレッジDBを作るかを意識して働いていた。

 

概ね課題の洗い出しが完了し、次に優先順位付けを行う。

 

洗い出し後の課題の優先順位付け

 

私の場合、時間も限られておりカネやモノなどのリソースもほぼ無い状況であった為、以下の3軸で評価していた。

  • 収益改善効果
  • 実行可能性
  • 効果発現までの時間

効果が大きいところから手を付ける人もいるかもしれないが、実は②と③をとても重視していた。
私の考え方だが、解決策の無い課題を分析する=時間の無駄と考えていたこと、また、3年で収益改善するとなると、コンサルティング会社と日系大手の事業会社では、仕事の進め方が異なり、実行と定着化に時間がものすごく時間がかかると想定し、簡単そうな施策でも、構想で半年、実行~定着化で1年、そこから効果発現のような時間軸で捉えていたため、以下のような施策はバッサリ諦めざるを得なかった

 

諦めた施策

-新規事業開発

-大規模なBPR

-M&A etc

 

 

採用した施策

-ターゲティングの見直し

-プライシングの見直し

-業務のムダ取り…etc

 

結局、3年でP/L改善となると、大掛かりな施策は失敗するリスクも高いし、リソース投入も必要だし、効果発現までに時間がかかる。

総合商社が買収した子会社を、10年単位で長期ホールドする理由がなんとなく分かった。

 

事業シナジーを生み出したり、新規事業をやるにしても、効果を出すまでには相当な年月がかかるし、着地精度も低い。

 

バイアウトファンドのように5年で事業をEXITする場合も、結局無駄な事業売却してリストラやってオペレーションのムダ取りして、、、程度の固定費削減しかやっていないのではと推測している。実際ファンドの人に聞いても、まあせいぜいそんなもんだと回答する人が多い。

 

施策が固まったら、一つ一つの施策に責任者を割り振って、プロジェクトを組成しプロジェクトマネジメント手法に落とし込んで仕組み化する。

 

最初の1年くらいは各プロジェクトの立ち上げで死にそうになるが、その後のモニタリングフェーズに入ればある程度業務負荷も軽くなる。

 

という流れで事業運営が進んでいくわけだが、この記事を読んでいる方には、

「あれっ、これくらいだったら普通の中計策定のプロジェクトと変わらないじゃん!」

と思っている人がいると思うが、実際、施策の効果発現のリードタイムと実行~

定着化が待っていることを除けば、初動の計画フェーズはコンサルティング会社を卒業している人であれば、誰でも出来ると思われる。

 

明確に異なる部分は、数字として結果を求められるため、実効性の高い施策を見極め、現場を動かす粘り強さを発揮できるかどうかだけである。

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■ この記事を書いた人

元戦略コンサルタント(サイト運営者)
元戦略コンサルタント(サイト運営者)
MARCH大卒→精密メーカーSE(3年)→総合系コンサルティング会社戦略部門(4年)→日系製造業事業再生(3年)

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